イチローは哲学者のよう…
イチローが、日米通算4257安打を達成し、ピート・ローズの記録(4256本)を抜きました。
私は最初に、テキストで「 イチローの記者会見全文 」を読み、その後、TVで観ました。
(TVの方は、全部が流れたわけではありません)
話しているイチローの表情が、余り嬉しそうではなく、寧ろ悔しさに満ちているようで
浮かれた気分にはなれませんでした。
でもそれでいいと思いました。
「参考記録」なのか「世界記録」なのか、公式見解などどうでもいいのです。
近い将来、メジャー3000本安打を打つ事があっても、
イチローにとっては、それも通過点でしかないのは明らかで
彼の戦いは、記録ではなく、悔しさを跳ね返し、自分が納得できる事なのでしょう。
イチローが、素晴らしい選手である事、日本の誇りである事に違いはありませんが、
単なる野球選手として尊敬できるだけでなく
まるで哲学者のように見える事がありますね…(まぁ日本にいた時からですが…)
偉大な数字を残した人が偉大だとは限らない
イチローは
いつかアメリカで、ピート・ローズの記録を抜く選手が出てきてほしいし、それはジーターみたいな人格者であることが理想です
いろんな数字を残した人、偉大な数字を残した人、たくさんいますけど、その人が偉大だとは限らないですよね。偉大な人間であるとは限らない。むしろ反対な方が多いケースがある、と僕は日米で思う
と言っていました。
「偉大な人間であるとは限らない」が、具体的に誰を指しているのかはわかりません。
「日米で」と語っている事から、薬物で逮捕された選手の事を指していたのかもしれません。
でも、イチローが、何故あんな様子だったのか、ピート・ローズが話している所を見たら
すぐにわかります。
イチローは、ピート・ローズを偉大な人間とは思っていない、という事でしょう。
そして「野球で成功した人=偉大」とは限らない事は、
当然、知ってはいるのでしょうが、私たち以上に残念に思っているのでしょうね。
我が家も、ピート・ローズは尊敬できないで、意見一致
イチローの記録を前に、ピート・ローズの発言が度々紹介されていました。
私の想像では
この偉大な人物は、メディアが「日米合算記録だから」とケチをつけたとしても
余計な事は言わず、いや寧ろ、そんなケチをつける人を制して、
真っ先に「素晴らしい!」と語るんだろうなぁ♪…と思っていました。
でもカメラの前で、話しているピート・ローズは、がっかりさせられる人物でした。
「日本の野球の方がレベルが低い」ので、日本のを合算するのはおかしい」
と言った内容を、延々と話していました。
当事者ではなく、他の選手が言ったとか、アメリカの野球ファンの見方とか
そういうのなら、仕方ないな、と思って終わりですが。
世界記録保持者で、球史の名を残すような存在の人物が、
(もし心の底で思ったとしても)それを人前で言うべきなのか?
「この人は人格者ではない。偉大な記録を持っているが、偉大な人ではない」
一緒にTVを見ていた家族全員で、そう話しました。
記録より、人格者である事の方が重要
「もし王さんだったら、絶対にこんな事を言わない。長嶋さんだって、松井秀喜
だって、桑田だって、こんな事は言わない…。」
そう考えると、いくらピート・ローズに「日本の野球はレベルが低い」と言われても
人間性の素晴らしい選手に思いをはせると、胸をはれます。
イチローは、記録を沢山持っています。
でもその事が、人間性とイコールでない事を知っているから、勘違いをしない。
桑田がメジャーに挑戦した時、対戦チームだったイチローが挨拶にやってきて
深々とお辞儀をしている写真を見た事があります。
イチローは桑田を深く尊敬しているのだなと感じる美しい姿でした。
勿論、勝負の世界なので、勝利に貢献し、記録を残す事も求められるわけですが、
どんな世界でも、結局、最終的には、人間性でしかない…。
桑田の書籍を通じて、常々思っていた事ですが、
イチローの記者会見と、ピート・ローズの発言を見ていて、
改めて考えさせられました。
でも、でも…本当に、イチロー選手、おめでとう!! 私は単純に嬉しかったです!!
ピート・ローズは、やっぱり残念な人だった…
【 追記 2016年6月21日】
何気に
ローズさん、イチローの記録にケチをつけられる筋合いではないでしょう
という記事を読んでびっくり!
ローズ氏はトラブルも多く、89年の野球賭博への関与で永久追放となり、現在でも米野球殿堂入りできずにいる。90年には、脱税と虚偽の申告で懲役5カ月、罰金5万ドルの実刑判決を受け服役したこともある。現在は米ラスベガスでサイン会を開いたり、レストランを経営して生計を立てている。
野球賭博で球界から永久追放、殿堂入りもできず、脱税で服役って…^^;
そういう先入観なしで、ピート・ローズのインタビューを聞いたのに
「何だか品性に欠ける、嫌な印象を受けた」理由に妙に納得してしまいました。
記録より、人格…。 球界も例外ではないと思った出来事でした。。