負け犬の遠吠えの著者・酒井順子さん


酒井順子著の「子の無い人生」は、ネットニュースで見かけました。
妙に心惹かれるタイトルで、思わず購入して読んでしまいました。
「続々重版!」と書いてありましたが、私が買った時点で、既に「5刷」でした。

酒井順子さんは、あの有名な「負け犬の遠吠え」を書いた方です。
出版当時、
既婚で子どものいない先輩から「私って負け犬?」と聞かれたのが懐かしいですね。

負け犬の遠吠えの細かい内容は思い出せませんが
「未婚・子ナシ・30代以上」は負け犬で、
夫がDVでも結婚して子供がいたら勝ち犬…とか書いてあるのを読み、
「DV夫って…^^;」と苦笑しつつも
何だかんだで、納得させられる内容だった気がします。


子の無い人生


人生を左右するのは「結婚しているか、いないか」ではない、
「子供がいるか、いないか」なんだと…。


私は、そこまで真剣に考えた事がなかったのですが、
酒井さんの本を読み進めるうち、色々腑に落ちました。

Amazonのレビューを見ていると、
産んでいない人は読んだ方がいいとか、立場によって意見が分かれるとか
書いてありましたが、私は違う印象を抱きました。

つまり、この本は「産まなかった女性の話」ではなく、
殆どの人に、どこかしら当てはまる話では?という事です。


何故なら、
ご自身に子供がいても、兄弟にはいなかったり、
娘・息子のいずれかに子供がいなかったり、
いたけれど、離婚によっていなくなったり…という人が激増している筈で、
兄弟全員結婚して子供がいて、離婚もしていない人って
探すの苦労するほど、少ないからです。。


「トートーメー」の話が怖すぎる…


冒頭は、「年賀状」の話ですが、私はどうでもいいですね。
友達が子供の写真入りの年賀状を送って来ても、何も感じないので…。。

「子育て右翼」の頁は、さすがに気分が悪かったです^^;
言いたい事はわかるのですが、共働きを避ける為に女性の給料を下げればいいとかね、
そこまで自己中になるのはいかがかと…。。

個人的には、沖縄の「トートーメー」あたりの記述が本当に恐ろしかったです。
インドの田舎とかの話ではなく、日本の話と言うのが…。。


あとは、「『できてない婚』という偉業」が、面白かったです!!
妊娠という飛び道具を用いずに、女としての実力だけで相手に結婚を決意させるという
「できてない婚」を達成した女性は「神」とすら崇められる存在なのだ。

ふふふ。。
そういう意味だったのですね。「飛び道具」とか、表現がいちいち面白いです。 


子産み以前に、結婚難すぎる時代…。


一九六四年の東京オリンピックの時、適齢期をバレーボールに捧げて戦った東洋の魔女。そんな彼女達が見事金メダルを獲得した後は、鬼の大松監督や、当時の池田首相が、結婚相手を探したのだそう

というのを知り、本当にびっくりしました!!
「時代が変わったんだなぁ」と、実感する話です。
(結婚したくない人にとっては、迷惑な話でしょうが)

でも、先述の「できてない婚が偉業」だとすれば、
まさに、結婚するまでが本当に大変な時代になったわけですよね。

日本の場合、未婚のまま出産する人を非難する風潮
(子どもが可哀想、自分の事しか考えていない等)も相まって、
結婚しないと出産しないので、
少子化対策も、男性にもっと考えて貰わないといけない問題なのでは…
とあり、納得しました。


保育園不足…でもそれ以前に、結婚に辿りつけない


確かに、男性が結婚に積極的でない → 結婚難 → 少子化
(そこまで単純化されて書かれているわけではありませんが)
なわけで、女性問題では済まされない事が理解できました。

女性の生殖可能年齢は、男性より短いので、男性が40歳すぎても
まだ焦っていない、なんて言っているようでは、婚活女性も苦労しますよ…。

奇しくも、都知事選間近という事で、待機児童だの、保育士の給与などの話題を
いつも以上に耳にしますし、
教育費や、奨学金制度の拡充など金銭面での話もよく目にしますが、
結婚難が解消されない限り、出生率は、今のレベルを保つだけで精一杯なんでしょうね。

ざっくりまとめるなら、
日本って、こんなにも結婚できない国なのね~という…、今さらですが驚きでした。


なんとなく、結婚・子産みができる時代の終焉


「結婚も子産みも、実は『なんとなく』できるものではない。
結婚・子産みは、努力をしなくてはできないのだ」ということがわかってきました。
が、だからといって「こうすればよいのです」という処方箋は、まだ見つかっていません


つい30年程前までは、本人がぼんやりしていても、
上司や親せき・家族・友人・近所の人までが、適齢期に結婚させようと、
躍起になって、手伝ってくれたわけですが、
今は、適齢期に拘る人が減った分、自力で何とかしないといけないのです。

あと、やたら、フランスは婚外子の方が多いとか、海外だったら精子を買える
とか書いてあったので、出産だけしたい女性を応援できるようにしないと
ダメなんだな、と感じました。

昔だったら、沢田亜矢子とか、最近だったら、安藤美姫とか
未婚のまま、父親の名を明かさずに子供を産む人もいますが、
その時は、色々悪く言われたりしますが、
産みたいと思ったなら、産んで正解だったと思います。

反対されたって、やりたい事をやらないと損!!です。。


酒井さんの後を追う人生になりそう…


この本は、結婚しろとか、子どもを産んだ方が良いとか、書かれていません。

読んでいる時は「結婚して子どもがいた方がいいな」と思うのですが、
「じゃあ自分は、円満な結婚生活を継続させ、子育てもできるのか」と
考えると、全く自信がありません^^;

酒井さんの後を追う人生になりそうだな、という自覚はあります。

トートーメーの話があんなに怖かったのも、結局、老後資金はともかく、
その先の事…例えば、死ぬ時、死んだ後の事を、
殆ど初めて、見つめざるを得なかったからだと思います。

子どもがいれば全て安泰…とも言えませんが、
本書は、色々考える良いきっかけになりました。